2011日本シリーズ終了

ソフトバンクの4勝3敗で決着しましたが、ホークスとそのファンの方々おめでとうございます。

パ・リーグを圧倒的な強さで勝ち抜いたホークスに対して、7戦まで粘ったドラゴンズもなかなかよくやったんじゃないかと思います。

思えばドラゴンズのような最低打率のチームが優勝するという、統一球採用による投高打低のシーズンを見事に反映したシリーズでした。
ドラゴンズは日本シリーズ史上最低の打率(.155)、最少得点(9点)、最小本塁打2などなど、数々の最低打撃記録を打ち立てながら、7試合を戦い抜きました。

そもそもドラゴンズの打線は少々工夫したところで爆発する要素などなく、シーズン中同様、細かくチャンスを作りながら確率論的に時々得点するというきわめて地味な作業を淡々と行う、まるで昔の役モノ台のような打線であったわけで、小手先の手当を全く行うことなく最終戦まで平常通りの対応で臨んだ落合監督の戦略は基本的に正しかったのだと思います。

投手陣も基本的に大きな破綻はなく、被弾も想定内の大きさで抑えきったといえるでしょう。第5戦で5失点したのが最大の失点でしたが、チェンはこのシリーズで1勝1敗であることを考えると、この敗戦もいわゆる「想定内」であったといえます。

結果から見れば、あのとき誰々を起用していれば…、みたいな論議は可能かと思いますが、実際にそのようなことをやって平常通りのドラゴンズでない戦いをやったところで4戦を先勝というのはかなり困難であったと思われます。先のことを考えずに手持ちの戦力をとにかく投入していくというCSのスワローズのような戦い方ではどう考えても破綻します。

このシリーズの一番のポイントといえば、誰もがおそらく第4戦のノーアウト満塁から森福に抑えこまれたシーンを思い浮かべるでしょう。しかし、あのようなことはシーズン中から数限りなくあったのです。どちらかと言うと、あのようなチャンスをとにかく何度も作りつつ、その何分の一かの機会に得点をするというのが今シーズンの中日の戦い方でした。

そこには、いわゆる打線のつながりとか、打線の勢いとかを重視するような攻撃のイメージはありません。むしろ個々の選手が可能なかぎりの実力を出しつつ、それらがうまく組み合わさったときには自ずと得点が入るという感じです。調子に乗せたらどうしようもない、とか、打ち出したら止まらない…的な打線から一番遠いところにいるイメージです。

ところが、9月後半から10月にかけて、どういうわけか打線に勢いがついてしまった。また、CSからシリーズの1,2戦にかけていわゆる「一発」で決める試合が続いてしまったことで、そもそも基本としていた貧打で地道に攻めるという基本的な攻撃姿勢が崩れた感じがしました。あるいは短期決戦ということを意識しすぎて、打者の意識がシーズン中と違い、一気に決めてしまいたいという方向に傾いてしまっていたのかもしれません。

特に最終戦では、いわゆる打線が粘りを見せる、というシーンがほとんど見られませんでした。それは杉内の投球がそれを許さない内容であったのか、それともドラゴンズの各打者が通常の打席よりも敵投手に食らいついていく意識が低くなってしまっていたのか、そこまではよくわかりませんが、結果として明らかに淡白な内容であったのは否定できません。

負け惜しみではありますが、第7戦まで持ち込んだということは、ホークスと実力伯仲で五分の戦いができたということは間違いないと思います。
落合監督が就任してから、その基本路線通りに大型補強を行わず、いわゆる現有戦力で勝てるチームにする、という目標は8年間連続Aクラス入りということでその成果が十分に示されています。そして日本シリーズでも十分に通用するチームになったと言えると思います。

ただ、そのチームは落合という監督がいてはじめて機能するチームともいえるわけで、このオフではたしてどのような変化が起こるのかに興味を持って注視していきたいと思います。