タブレット考

スイッチを入れたらパッと使えて、文章の入力や編集もある程度スムーズにできるような端末が欲しくなってしまったわけです。かなり急に。

ことの起こりはたぶん、去年末頃にちょっと続けざまに打ち合わせのメモ取りにキーボード付きのAndroidであるIS01を使ってみたところ、これがなかなか使い甲斐があると実感してしまったことだと思われます。

ただ、IS01のサイズは文庫本をちょっと細長くした程度で、大の男が仕事中にガシガシ文章を打ち込むのはあまりにもサマにならないというか、かなりIS01の小さなキーボードに慣れてきたつもりの自分にとってもある程度の分量のテキストを集中的に処理するにはちょっとストレスが大きいと思えたというか、もうちょっとサクサクした入力環境が欲しいなぁ、と。

そんなわけで、「パッと使えて」という観点からいまの市場を眺めてみると、やっぱり思考は流行りのタブレットに流れてしまうわけです。
ですが、流行っているだけあって選択肢も多く、選ぶこっちとしてもある程度しっかりした要求する要件を整理して望まなければ、ただひたすらに大型量販店の売り場に並ぶ大量の商品の海に押し流されるようにウロウロして大事な時間を浪費する結果となるのは目に見えています。

そこで、さて、では自分の求めている要件とは一体何だったんだろうとアタマを冷やしつつ再考してみます。

とりあえず、「パッと使える」すなわちスタンバイ状態からの復帰で即利用可能状態になるということは選択の余地のないところです。Androidのタブレットならまずこの要件は満たします。Windowsだとしても、最近のものであればまあまあ問題ないかもしれません。

つぎに「パッと使える」の副次的な要件として、「バッテリの心配なく使える」ということが挙げられます。スタンバイからの復帰が速くても、すぐにバッテリを心配しなければならないのでは安心して持ち歩いて使うことができません。

それから「文章の入力」ができなければなりません。タブレットで入力となるとソフトキーボードですが、店頭でいろいろ試してみたところ、小さなIS01で慣らしたこともあり、かなり小さい7インチタブレットのソフトキーボードでもある程度スムーズに入力できることはわかりました。もちろん10インチクラスではさらにスムーズです。
しかし、そのスムーズさはハードウエアキーボードに比べてみると雲泥の差で、当初考えていたような仕事でメモ取ったりということを想定すると、かなり心許ないものです。
おそらく、そういう利用に際してはBluetoothとかの外部キーボードが必要になると思われます。

ここで、タブレットを中心としてスタンド兼用のケース+外部キーボードという感じでかっこ良く解決できるといいなぁ、という妄想というか邪念がアタマの中に渦巻いてきます。
キーボードが要らない状況では身軽なタブレットで、そしてデスクではキーボードをプラスしてノートPCの代わりに!という感じです。かっこいいです。なんかうっとりした気分になってきてしまいます。もう、このまま最新型のタブレットに身を任せてしまってもいい気分です。

しかし!アタマを冷やさなければならないのはここのところです。もう10年以上もこんな風に小さなガジェットを相手にしていると、アタマを冷やさなければならないツボが自ずとわかってきます。(普通はもっと早い段階で気づくべきですが)

冷静に判断しなければならないのは、「パッと使い」たいのは、なにもデスクのあるところばかりじゃない、という点です。

デスクはもちろん、電車の中や、ベンチや、ビルのロビーの椅子で膝の上に置いて、という状況もかなりありがちな状況です。その場合、タブレット+外部キーボードというのはかなり不安定で使いにくい組み合わせと化します。両者がしっかりと結合されない状況でタイピングもへったくれもあったもんじゃありません。

…こう考えてみると、自分の欲しかったのは、本当はタブレットじゃなくて実はキーボード入力ができる小型端末だったようです。苦もなく膝の上においてタイピングでき、なおかつIS01よりは大きくて安定した操作ができるものです。
タブレットはWEBサイトや動画をゴロゴロしながら眺めるにはぴったりですが、自分の求めてる用途はそこじゃありませんでした。そういうことをする端末なら小さくて軽いIS01もあればDell Streak5もすでに手元にあります。
そもそも流行りに流されて、機種選定のスタート地点をタブレットにしたのが間違いだったのです。

ということで、この「パッと使える」端末の機種選定はいったん振り出しに戻ったかのような様相を呈しながら第二幕へと移っていくことになります。